BOY ⇄to⇄ MAN 〜オトナの手前〜

危ういは、魅力。

ことストリートな芸事の世界においては、安定・安心の域で測れないものにヒトのココロは動くもの。
そんな点で見ると、どうしたって揺れ動いちゃう思春期のアーティストに匹敵するアンバランスなど無いのだ。

今回紹介するのは、二度と帰ってこれない子供以上大人未満な1ページを切り取った儚くも美しいセレクション。

"BOY ⇄to⇄ MAN 〜オトナの手前〜" by Yacheemi on AWA

※女性アーティストも収録されてます。タイトルのパロディーありきだったので悪しからず。

昨今はキッズダンス大旋風。
大人顔負けのスキルwith大人な顔負けのドヤ顔で繰り広げられるパフォーマンスにスポットが当たりがちだが、繊細なクラスの端っ子の織り成すアートにもっと触れてみたいと思うのであります。

才能の育て方は百通り。
を噛み締めながらプレイリストのボタンを再生してみましょう。

1. Mr. Telephone Man / New Edition
まず一曲目は、ボーイズⅡメンの名前の由来にもなった楽曲を有するスーパー・グループから。当時15〜17歳、オトナとしての売り出しをする一歩手前の甘酸っぱさが詰まった胸キュン・ソング。時は経ち、今週16年振りにリリースされたベル・ビヴ・デヴォーのアルバムでは、そのBⅡMとの共演も果たしているゾ。

2. I Like The Way / Hi-Five
天才シンガー、トニー・トンプソンの青く煌めくヴォーカルが冴え渡るバブルガムR&Bの金字塔。プロデュースはテディー・ライリー。トニーはソロとしても活躍したが2007年に惜しくも急逝。グループはその後メンバーの再編成を経て新作『Legacy』を今年発表した。(現在は日本限定)

3. Age Ain't Nothing But A Number / Aaliyah
「年齢なんてただの数字に過ぎない。」そのふてぶてしい言葉は、"大人びた"では表しきれない程の色気を纏ったアリーヤにこれ以上ないほどピッタリだった。言わずとしれた稀代のアイコンが、蜜月関係にあったR・ケリーと育んだ名曲(当時14歳!)。タイトルに偽りは無いが、この年齢だからこそ生まれ得たグルーヴであることも間違いはないだろう。

4. No More (Baby I'ma Do Right) / 3LW
いつの時代もガールズ・グループは戦国時代。そんな中7年の活動期間に3枚のアルバム残した彼女達は、シーンにしっかりと名を刻んだ検討組。デビューを飾った本曲は、舌ったらずな歌い口がなんとも初々しい。事実上グループを解雇されたナトゥーリがドラマ『Power』等を通して現在1番活躍している、という芸能界あるあるが何とも。

5. All I Do / B5
2000年以降のキッズ・グループは、幼さを売りにしない、歌もダンスも本格的におマセなアクトが増える傾向に。そんな中アトランタから登場したブリーディング一家は、実力はもちろんのことだが、デビュー当時平均年齢11歳という若さからの背伸びっぷりが実に微笑ましく好印象だった。狙いはもちろんジャクソン・ファイブ、ということで直球なカヴァーもハマった。

6. What Do I Say / Tevin Campbell
12歳の時にクインシー・ジョーンズ"Tomorrow"のリード・ヴォーカルに大抜擢された神童。R&Bクラシックとして名高い"Can We Talk"を収録した'93年のセカンド・アルバムから、ジョニー・ギルもペンを握った美しいバラード。後に十数年間の沈黙が続いたが去年シングルをリリース。フルアルバムのアナウンスが待ち遠しいぞ。

7. Save The Best For Last / Singing Sweet
前曲のテヴィンが天才系のシンガーだとしたら、こちらはド天然系。"When I See You Smile"がヒットしたベテラン・レゲエシンガーによるヴァネッサ・ウィリアムスの珍カヴァー。国が違うとこんなに育ち方が違うのか。pitchyだとしても真っ直ぐな歌心は胸を打つ、というジャマイカンな好例。

8. Ben (A Cappella) / Michael Jackson
今回のテーマを語る上で、やはりMJは避けては通れない存在。そのトキメキ、繊細さ、危うさの所以は、幼少期から亡くなるまで、ずっとオトナの手前であり続けたからなのかもしれない。言わずと知れたベンのテーマをアカペラで聴き直すと、その圧倒的な才能にあらためて涙するのみだ。



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