The Rainbow Children 〜殿下を愛した者たち〜

アイコン。ヒーロー。スーパースター。否、プリンス。

いかなる形容詞でも物足りない希代の才能は、あまりにも突然に、永遠のペイズリー・パークへ旅立った。

このどうにも非現実的な出来事が起きてから、ただただ殿下の音楽を繰り返し再生するばかりの毎日。踊りだすには到底程遠い傷心であることは確かだ。

あぁ、やっぱり大好きだったんだなぁ、殿下のこと。

今回は『The Rainbow Children 〜殿下を愛した者たち〜』と題し、独断と偏見によるセレクションのもと、彼の影響力の強さを再確認しつつ、ポッカリどころじゃなく空いてしまった心の穴を、1ミクロンずつ埋めていきたいと思います。


"The Rainbow Children 〜殿下を愛した者たち〜" by Yacheemi

1. Telephone / Nicole Renee

"Strawberry"がR&Bクラシックとして人気のシンガー・ソングライター。同曲だけ聴いていると可愛い印象で終わりがちだが、アルバムに見受けられる絞り出すような高音には殿下のDNAがビシビシと。ギター弾きというところも共通項。

2. Sometimes / Bilal
ネオソウル・ムーヴメント全盛期に登場した彼も、ディアンジェロと並ぶ根っからのプリンス・チルドレンの1人。昨年ライブを観たときは、随分とヒッピーな雰囲気でビックリしたが、殿下譲りの粘っこいヴォーカルは健在。こちらはオーディエンスが必ず反応する定番曲。

3. Hold Me / 小比類巻かほる
アニメ「シティ・ハンター」の主題歌でお馴染みの彼女は、殿下に曲を提供された唯一の日本人アーティストとしても知られている。('89年作『Time The Motion』に2曲収録)
2人の邂逅前の初期の楽曲からも、シーラ・Eばりに肝っ玉の座ったファンカー魂はしっかりと伺える。

4. ステップUP↑ / 岡村靖幸
続いて日本のプリンス(という代名詞すら不必要ではあるが)こと、ミンナの青春=岡村ちゃん。
アルバム『家庭教師』は随所に『Sign 'O' The Times』期の殿下を匂わせつつ、それでいて日本語でしか成し得ることの出来ないグルーヴを生み出している言わずと知れたの名盤。近年の活躍も見逃しは厳禁だ。

5. Baby Wants To Ride / Frankie Knuckles feat. Jamie Principle
こちらはさらに変態サイドにフォーカスした楽曲。シカゴ・ハウスの重要人物であるジェイミーは、当時余りにプリンスの真似をするから"Princ-iple"という芸名になったんだ、とはフランキー談(最近知った)。長尺で展開する陶酔のエロチシズムは、アルバム『Come』の世界観とも共鳴する。

6. Figure It Out / Theophilus London feat. Devonte Hynes & Force MD's
主役のラッパー、セオフィラス・ロンドンにも言えるが、冒頭で歌声を添えるデヴ・ハインズ(またの名はブラッド・オレンジ)は、音楽性+ビジュアル面でも殿下のDNAを色濃く引き継いでいる代表格。PVで見せるダンスや演出のセンスの良さはグンバツなので、合わせて要チェックや。

7. Beautiful / Me'Shell Ndegeocello
殿下のカヴァー曲のみで構成されたライブを行うなど、兼ねてから愛好家としての動きも見せるンデゲ様。キャリアの中でも一際に内省的な3作目のアルバム『Bitter』からは、殿下の如く孤高に生きるカリスマの繊細さを覗くことができる。友人関係としてはあまり良好ではなかったようだが、共演が叶わなかったのが実に悔やまれる。

8. Precious / Van Hunt
ラストを飾るのは、殿下同様にギターを初め複数の楽器を操るインディペンデント・ソウルの雄、ヴァン・ハントの美しいバラードで。スライ色も濃い彼の音楽性は、他のミュージシャンからも絶大な信頼を得る。本曲における真っ直ぐな歌心は"Sometimes It Snows In April"の世界観とも遠くない。


と、少しでも現実から気が紛れるよう、勢い任せに選んだ8曲。もちろん殿下が影響を与えた後進のアーティスト達は枚挙に暇がなく、それだけでもちょっとしたカタログ本が出来るほど。
それほどこの戦慄の貴公子は、57年という短い間に、この地球の中でとてつもないほど多くの愛を交わし交わさせたということだろう。
その意思を受け継ぐ子供達は、この先もずっと産まれ続けていくに違いない。僕も貴方も皆レインボー・チルドレンの1人なのだ。

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