【スペシャル対談-HIRO/YOSHIE/TAKUYA/世界-】 STREET KINGSを振り返る | 02

この試みはダンスを一つ前進させるためのもの(TAKUYA)


「ジャッジについて」

HIRO:ジャッジの話が出たんでジャッジシステムの話に移ると、感想も聞きたいんだけど、俺はジャッジだしあのシステムを考えた側なので、俺ん中で思惑がある。みんなはどう感じたかな?

TAKUYA:基本的にはすごく良いと思うんですよ。すごいクリアに見えるし、メディアを通してやるって意味でも、仕組みが分かるとか、内容、どこを見ているか分かるっていう意味ではすごく良い。でも例えばファンデーション...(※1)一つとった時に、TAISUKEとGUCCHONのバトルで、ファンデーションがGUCCHONに集中しましたよね。でもTAISUKEのファンデーション力の高さから「いやいやいや」って俺は少し思っちゃった。別にあのバトル自体GUCCHONが勝ちで良かったし、そこに異論は無いです。けどファンデーションに集まっていたことに少し違和感を感じて、ファンデーション力でいったらこれどっち分かんないよっていう。

TAISUKEは勿論クリエイティビティもあるけどどちらかというとファンデーション力が高いダンサー。トップロックとかも突出して個性的というより、基礎力が高いクールなスタイルだから、どちらかというと最近のGUCCHONの方がファンデーションは見えづらいかなと。なのであの瞬間「えーそのジャッジか」みたいに少し思って。勝ち負けに別に異論はないけど、その点数かってところで印象的でしたね。


(※1)STREET KINGS vol.0で採用されたジャッジシステムの6つの審査項目

FOUNDATION / 基礎能力

ORIGINALITY / 個性

DYNAMICS / 難易度

PERFECTION / 完成度

BATTLE / 態度

MUSICALITY / 音楽性

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HIRO:今TAKUYAが言ってたそこの部分が難しいのは分かっていて。このシステムを考えた時にジャッジの人に説明したのは、予選からバトルという流れの中でのファンデーションを見てほしいということ。その人一人のダンサー像を評価しようとするとファンデーションになるから。パーフェクションもダイナミクスもその時のバトルのことについてジャッジしてほしい。だから結局、本来ダンサーの持っているオリジナリティで言ったら多分毎回結果が一緒になる可能性がある。でもその瞬間での判断でどっちかに付けるしか無い。もちろんTAISUKEのファンデーション力が高いのは分かっているけど、点がGUCCHONに集中したのは、結果の内訳を100点満点で考えた時に49対51でGUCCHONのファンデーションが勝ちだったとしても、どっちかにつけるならGUCCHONってなっただけかもしれない。あのバトルの中だけで判断したから。



1ページ目のオリジナリティ、バトル、ミュージカリティは、それぞれのダンサーの技術力や積み重ねてきたものよりもその時のバトルの瞬発力がいかされると思っていて。2ページ目はそこででもじっくり見たときに技術力が高かったり、ファンデーションが強い、難易度が高いとか、完成度が高いっていうところの二つで見ているので、どんでん返しっていうのがある。でもダイナミクスとかって難易度や迫力とかのいろんな要素があってジャッジの観点もなかなかまとまらない部分なんだけど、でも完成度はコンディションによってぶれるし、そういった意味では難しいよね。それぞれのジャンルによってファンデーションって違うしね。7人で6項目あってそれぞれに点が付いてるってことでジャッジの全てが反映されている。結局そのバトルについてではなくそのダンサー自体を評価すると、ひっくり返ることってあまり無くなってしまう。逆にひっくり返りすぎちゃうかもしれないし。そこがやっぱり難しいんだけど。


(採点表スクリーン STREET KINGS vol.0より)


TAKUYA:でも結果としては大成功だったんじゃないですか?すごくクリアに見えたし。

HIRO:ほんとに、あと1点差みたいなドラマチックな展開だったよね。

世界:最後のYOSHIEさんとGUCCHONさんの決勝とか1点差だったですもんね。

HIRO:あれはジャッジが一番緊張したと思う。「どっちだろう」みたいに(笑)

TAKUYA:やらせでしょ(笑)どのボタンをどう押してもああなる、みたいな(笑)

全員:(笑)


(YOSHIE vs GUCCHON STREET KINGS vol.0 FINALより)


「ダンス解説について」

HIRO:では次はダンス解説について。TAKUYAがずっとしてくれていたけど解説についてはどうでした?

TAKUYA:正直なところ、一般の人の目線でカルチャーの普及みたいな部分になっているなって瞬間的に感じ取れてしまって。要は「POPというものは筋肉を弾いて踊るダンスなんです」から始めて。どこまで突っ込んでっていいのかと、自分でも実験的だったてのが正直なところかな。普通にダンスのことを分かっている人だけに向けてやっても意味無いなって。この試みは、一つダンスを前進させるためのものだと瞬間的に勝手な解釈をして、そこにつとめてました。あとはダンスファンに向けてのここが良かった、ここが良いように自分は見えましたよっていうのを織り交ぜながらやってみましたけどね。



HIRO:解説は絶対あってほしいと俺は思っていて。要は現場にいろんな理由で来れてない人とか、あまり踏み込んだ状態じゃない人たちもいるから、そういう受身の状態で見ている人たちに分かりやすく解説があったらまた見てくれるかなっていうのが前提にあって。ダンスの分野じゃ無い人に解説してもらってもいいのかなって思ったりもしていたんだけど、やっぱり「締める所はダンサーに」って思ったし、マテンロウの二人がTAKUYAに直接聞くこと自体が見ている人も聞きたい声というか、それにダンサーとしての目線で答えるにはって思ったら、TAKUYAならなんか良いことというかうまいことを言ってくれるかなって。



TAKUYA:ただすげえ難しいのが、始まった瞬間、「どうすか」って聞かれるんすよ。いや分かるわけないっていう(笑)その人のイメージを話すしかない。はじまってまだ3秒だよって。どうすかTAKUYAさん!みたいに。まあそれは改善点として。

HIRO:俺のイメージは、見ている人たちがスポーツを見ている目線で見てほしい。音楽があるから遮っちゃいけないんだけど、動いている最中にリアルタイムでコメントを入れてもらえるっていうのは、将来的に見飽きられることを防げるのかなって思う。リアルタイムでコメントできることと、解説があるのは俺は良いのかなって思ってるのね、理想はね。

TAKUYA:そうですよね、だから中盤ですよね。要はサッカーとか野球って試合長いじゃないですか。休憩的な部分で話せるけど、ダンスは結構瞬間的な山場から始まるから難しいんですよね。「ああ、今邪魔しない方が良いんじゃないかな」みたいな。


(Sidney vs 世界 STREET KINGS vol.0 トーナメント2回戦より)


HIRO:そのバランスがやっぱり難しいよね。

TAKUYA:でもやっぱり中盤ですよね、入れるとしても。

HIRO:バランス的にコメントとか多いなって思う人もいるかなと思うけど、それって野球とかサッカーと一緒だと思う。実際に現場に行った人はその解説がないものを見ているから臨場感とかを楽しんでいる。モニターを通して見ている人はそこまで行ってないんで、解説ありきで見ることがスタンダードになってくれると俺はある意味進化かなって。そうすると現場に行くのとそうじゃないのとの違いがはっきりするし、スポーツとしてもそういう風になっていくのかなって。



▼STREET KINGSを振り返る | 03 へ続く

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